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「アンタ、なんでそんな白いのよ」
私はふと聞いてみたくなって聞いた。
「……ん?」
その時ちょうど突風が吹いて、私の言葉を掻き
消した。
「だから、なんでアンタそんなに白いの?」
「白?」
彼は分からないと言うように首を傾げた。
「肌の色。女でもここまで白いのはなかなかいないわよ」
「あぁ、……」
何故か彼はその見た目の年齢にそぐわない、老成した笑みを見せた。
「何なのよ」
「別に。昔から人間嫌いだったから外で遊ぶこともなかったし、そのせいじゃね?」
そうやって浮かべられる笑みが嘘なのか本当なのか判断が付けられない。
今思えば、私は彼のことを何も知らない。
「ねぇ」
「今日は昼寝日和だな~」
私が質問しようとした声に被さって1つあくびをした彼は、ゴロリと草の上に転がる。
そのまま寝息を立て始めた彼に溜め息をついた。
「バ~カ」
呟いて私も彼の隣に寝転んだ。
「なんで私がこんなヤツに……」
興味を持ってしまったんだか。
ねぇ、名前はなんていうの?
ねぇ、どこに住んでるの?
ねぇ、なんでここに来るの?
疑問ばかりが溢れてくる。
もう一度彼に目をやって………
「っ!?」
声にならないぐらい驚いた。
「ちょっと!」
彼の耳元で叫ぶ。
「起きなさいよ!」
怖くて彼に触れられない。
「起きなさいってば!!」
「んだよ……?」
顔をしかめて彼が薄目を開ける。
「何じゃないわよ!それどうし……あれ?」
「寝ぼけてんの?」
片腕で上体を起こした彼。
「そう、かも………」
異常などどこにもない。
「人騒がせだな…」
彼は苦笑して再び目を閉じた。
「夢…よね?」
そうだ、夢に決まってる。
彼の腕が透けていた、なんて。
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