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煌太と私は、また、バイクに股がった
帰りも煌太が安全運転をしながら走り
私もしっかりと煌太にしがみついていた
そして、家に段々と近付き大きな交差点に差し掛かった時だった
右車線から信号無視をした車が勢い良く煌太のバイクを跳ねた
私は気が付くとバイクから数メートル離れた場所にいて全身が激痛で息も上手く出来なかった
重たい瞼を必死に開け煌太を探そうとしたが身体はピクリとも動かず
もう瞼も開けて要られずゆっくりと目を閉じようとした時
身体が、フワリと持ち上がった
閉じ掛けた瞼をもう一度開けると
私の目に映ったのは頭から血を流しながらも必死に私の名前を呼ぶ煌太の姿だった
私は、激痛が走る身体を耐えながら右手を重々しく上げ煌太の頬にソッと触れた
煌太はハッとした
「咲由!!
大丈夫だから救急車がもう直ぐに来るから!!」
必死に私を励ましている煌太を見て、何故かさっきの煌太との約束が頭に過った
私は、煌太に力無く笑うと
今にも消えそうな声で
「約束…だ…ょ…」
と呟き意識を手放した
遠退く意識の中で遠くの方から救急車の音が聞こえた
そして煌太の『ゴメン…』と言う声も聞こえた気がした
。
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