居酒屋まるのホワイトデー

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院長室の応接セットであるソファーもテーブルも、血で汚れている。 これは、ミハイさんのものだろうか。 それとも、他の誰かを? 「入っていいわよ、泉実ちゃん。・・・泉実ちゃん?」 俺はこのとき、どんな顔をしていたんだろう。 それより、思考が止まっていて。 気がついたら、目の前に華原さんがいた。 「ちょっと!泉実ちゃんまでおかしくなっちゃたの?大丈夫?」 泉実ちゃんまでって!までって! 「や、やっぱりミハイさん・・・っ!」 「いいから入ってよ!廊下に響くわ!」 華原さんに引きずり込まれるような形で、院長室に入った俺は、血の跡から目が離せなかった。
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