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彼らの家系は複雑だった。先祖代々、有体に言えば陰陽師を生業にしている。神社庁の機密組織、心霊対策特別派遣処理班に属し、この支部では主にこの地の神官たちを守っていた。
彼らの家は、日の当たらない影にある。光である神官たちの影として魔を一掃する、汚れ仕事専門の家。まゆらのいる宮野家は、影の家々を統括する頂点でもあった。
しかしまゆらは、その家の養女だった。類稀な霊力を見込まれて招かれた、宮野の血を継がぬ者。
しかしまゆらが宮野姓になってから四、五年は経っている。それは彼女の家庭教師の一人である、狭霧もよく知っていた。
「初めて友達が?」
これまで一人もいなかったのかと、狭霧は言外に問うていた。
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