姫の顔

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 その視線から逃れるように、まゆらは深くうつむいた。 「妾(わらわ)は、社交的ではないからな。姫と敬(うやま)われ崇拝されて、いい気になっていたわけではないのだが……どうしても、普通の子供のように幼稚に振る舞えなんだ」  さもありなん。狭霧はそうですかと相槌を打った。まゆらは小さくうなずく。 「無意識に、一人になることを選んでいた。霊体一匹視(み)ることも払うこともできぬやつらから距離を置いていた。一緒にいては、姫としての品が落ちると思っていたのかもしれない」  彼女の言葉に、狭霧はなるほどとうなずいた。
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