02.昔の自分

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目の前に映るその景色は、とても懐かしさを覚える場所だった。 そこは俺が幼い頃に住んでいた家。 家族三人で過ごしていた、思い出が沢山詰まった場所。 まだ俺が、幸せだった場所。 今ではもう誰も住んでいないはずのその場所に、どこか見覚えのある幼い少年の姿があった。 泣いて、いるのだろうか? 小さな両手で顔を覆い被せ、俯きながら部屋の隅で小さく座っているその少年は、か細く震えた声で何度も何度もこう呟いていた。 お父さん、母さん。 どうして、どうして僕を置いていっちゃったの? ......あぁ、そうだ。 これは、昔の俺だ。 少年の救いを求めるようなその悲痛な訴えに、あの日消しさったはずの思いがまだ胸の内に在るのだと、気づいてしまった。 あぁ、俺はまだ救われていなかったのだと 俺は未だに〝救われたい〟と願っているのだと―――。
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