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はは。また、これだよ。
気付けば乾ききった笑い声が無意識のうちに、小さく口から漏れていた。
面倒くさいこと、自分に都合の悪いことはすぐ人に押し付ける。
そのくせ自分は何もしないし、態度だけは一丁前。
理不尽すぎるその有り様は、ただ見ているだけで嫌気がさす。
それが自分に向けられた日にはもう、その日一日を最悪な気分で過ごすことになる。
「......そう、ですか―――」
普通なら、こんな頼みなんて聞かなくてもいいはずだ。
今までその書類を送らなかったのは部長のミスだし、困るのは部長本人であって俺ではない。
この件に関して俺は無関係なんだ。
こんなの断ってしまえ。怒られるのは俺じゃないんだ。
でも......。
「 ―――わかりました!良いですよ!俺、行ってきます!」
頭の中ではそう思うものの、それを実行に移すことが出来ない。
何故なら俺は〝そういう人間〟だから。
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