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「本当かい!? いやぁ、助かったよぉ。流石神崎くん、頑張り屋さんのいい子だねぇ」
部長はそんな欠片も思ってはいないようなことを言いながら、更に言葉を続ける。
「神崎くんのデスクの上に置いておくから頼んだよぉ?それじゃまた」
部長はそう俺に告げて、俺の返事を聞くこともなく勝手に話を終わらせた後、強引に電話を切った。
通話の終わった携帯電話を少しばかり眺めてから胸ポケットへと乱暴に仕舞い、小さく溜め息をつく。
あぁ、結局......か。
いつまで経っても変わらないこの性格に嫌気が差す。
ただ、いくら嘆いたところで変えられないことも知っている。
そうしなければ生きていけないのだから。
そうしていかなければ、生きてはいけなかったのだから。
人に認められ、必要とされることで、自分の拠り所を作っていかなければならない。
自分が居てもいい場所を作っていかなければならない。
例え、それで自分が周りから都合よく使われていようとも、そうしていかなければならない。
〝独りきり〟だと、そうしなければならないほど、人というものは実に脆いのだと、知っているから。
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