山の巫女と天狗

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「大天狗様。射命丸です。」 「…入れ。」 文が扉を開けるとそこには姿が大きい天狗が座っ ていた。 「…して何用じゃ。」 「…はっ、実はあの巫女達に対する手段としてこの 者を人里より連れて参りました。」 「…。」 紗鬼は大天狗と呼ばれた天狗を睨む。 「…ほぅ。……じゃが、こ奴が何になると言うん じゃ?」 「…はっ、あの巫女達は奇跡を起こし、人間から信 仰を得ているのは解っております。…ならばこそ、 この人間を交渉材料として勧告するのです。」 「…ほぅ。」 「山から立ち退かなければこの者を殺す。…と脅す のです。」 「…協定で人間を我等が殺すのはご法度じゃぞ?さ すれば人間との戦争にまで発展するやも知れぬ。 」 「脅すだけです。…彼方はこの協定も知らぬはず。 …なればこそ意味があります。奇跡を起こす巫女と その神々。もしこの要求を呑めねば人間は殺さ れ、人々から非難されると思うのは当然。だから こそ此方の要求を呑むしか無いでしょう。」 「…なるほど…。それは良い案じゃな。」 大天狗も文の案に賛成の意を示す。 「…では、早速この案を皆の者に伝えねばな…。」 そう言い、大天狗が文達から背中を向けた。…その 時 ……ドスンッ!! 「何事じゃ!!」 外から大きな音が響いた。 「大天狗様大変です!!巫女が攻めてきました!!」 慌ただしく外に居た近衛兵が報告に来た。 「何!?見張りの天狗達は何をしておった!?」 「はっ、それが皆同じ様に体を縛られ、気絶して いたとのことです。」
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