天狗の長と山の神

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紗鬼の疑問はもっともである。天魔が居ることが判れば、…大天狗に伝え、大部隊で天魔を取り戻したりすれば、紗鬼が此処にいる以上、天狗達の勝ちとも言え、更にレミリア達は朝の為、館内でも本気を出せないからである。 「…はい…。」 部下も小さく頷く。 「…昨日の襲撃で大多数の仲間が殺され、その上天魔様が捕らえられてるなんてことが知られれば…。」 隊長は口を閉じる。 「…数人の大天狗様達が次期天魔様候補として争う。…ですね。……天魔様を見殺しにして…。」 「あぁ。…だから知られる訳にはいかんし、その為この山を離れて捜すこともいかん。…次は向こうに向かうぞ。」 隊長はそう言い、微かな望みに賭け、山の周辺を探索する。 ……… 「…ふむ。やはり大天狗達を駆逐するべきですかね?」 …紗鬼はそう言いながら山を登って行く。…すると 「かっぱっぱ~かっぱっぱ~♪に~とり~♪」 …翠の髪に緑色の服を着ている女の子が滝付近の河で陽気な唄を歌って遊んでいた。 「…やぁ♪」 紗鬼は(黒く)にこやかな笑顔で話し掛ける。 「ひゅい!?」 ドポンッ…。 女の子は(紗鬼の顔に)驚いたのか、河の中に消えてしまった。 「逃がしません!!」 ドボーーン!! 紗鬼は女の子が居た場所に拳を降り下ろす。…衝撃により水飛沫が辺りを舞う。 「何すんだよー。」 …何もないところから声が聞こえる。…紗鬼は慌てず周りの水面をよく見る。…すると一ヵ所だけ水が可笑しい動きをしている場所があった。 「…捕まえた…。」 紗鬼はそこに素早く移動し、抱き抱えるような仕草をする。…手の中には感触があった。
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