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物音しない自室の中。
私はじっと、ドアを見つめる。
慎がいなくなった今、あのドアが開かれる回数はグッと減ってしまった。
寧々さんがいない土日は、夏芽が仕事だと一度も開かれる事のない時もある。
明日はその土曜日。
寂しさに押し潰されそうだった。
―――コンコン。
不意に鳴り響いたノック音に、体が硬直する。
「未愛、入るよ?」
夏芽だ…。
「どうしたの?」
自室に入ってきた夏芽にそう聞くと、夏芽はゆっくりソファーに腰を下ろした。
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