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思えば、蓮斗は謎だらけだ。 陸斗の弟なのに、私に手を出したことも。 ただ単に興味があるだけ? 昔、会ったことあるって言ってたり、 陸斗とくっつけようとしたりするくせに、 私のこと、こうやって付きまとうところも。 若い子の気まぐれ? どこか意味深で、だけどフワリと擦り抜けていく。 不思議だ。 だからこそ、気になる。 お互い無言のまま 蓮斗が先を歩き、1歩後ろを私が歩く。 帰宅途中の学生や社会人が賑わう駅前を過ぎて、 静かなホテル街に近づいていく。 「蓮斗。どこまで行くの?」 「知り合いの店」 振り返りもせずに、歩きながら答える。
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