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「水原先輩?熱でもあるんですか?」 いつの間にか戻ってきていた後輩が顔を覗き込んでいる。 「ないない。きっとチークのせいよ!うん」 「そうですよねー。今回のチーク発色綺麗ですしね」 単純な後輩はそう言って新作のチークを整理しはじめた。 よかった、化粧品会社に勤務していてと初めて思った。 「愛ちゃん、そういえば夏川先輩は?」 「あれ?まだ見てないですね」 「もう12時過ぎてるよね。遅刻かな?」 いくら暇な平日とはいえ、さすがに2人で回すのはキツイ。 今日は新作チークの発売日だし、予約のお客さまがたくさん来店してくるだろう。 「ごめーん。遅刻しちゃった」 悪びれもなくやってきたうちのエース。 夏川ひとみの登場だ。
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