2.跳び箱少女

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そして部活終了後。 2年が室内の掃除をしつつ、 1年は用具の片づけをしている。 そして運の悪い事に、 俺は旧校舎の体育倉庫まで、1人で用具運びをする事になった。 持つ物は軽いから、楽と言えば楽だけど。 旧校舎は取り壊し予定は今の所無く、 あまり使わない物を仕舞う倉庫代わりや、 文化部の部室に使われている。 体育館とは何故か離れている体育倉庫は、当たり前だが人気が全くない。 ……仕方がないか。 さっさと片付けて帰ってこよう。 そう思い、荷物を持ち立ち上がった時。 後ろに立った人物に、嫌な予感しか感じなかった。 『旧校舎の体育倉庫に、古い跳び箱があるだろう? あの中にはね、女の子が入っているんだ。 元々あの跳び箱があった学校で昔火事があって、 跳び箱は焼けはしなかったけど、 落ちてくる物に当たらないよう、その中に入っていた少女は、 結局煙やなんかで、命を落としてしまった。 その少女が今もね、 助けを求め、 あるいは一緒に隠れていようと、やってくる人を誘うんだ。 だから見つからないように気を付けろよ?』 先輩は、そんな事を言った。 そして何故だか今日に限って、 『嘘だけど』 あのお決まりの文句を言わない。 頑張れと手を振る友人に見送られ、俺は旧校舎へと向かった。
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