1.階段

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……そこには、誰も居なかった。 足音も無く、あの誰かはどこかへ消えていた。 また下を見ると、 先輩は楽しそうに笑っていた。 「……先輩、嘘って?」 「全部、嘘なんだよ」 それは、どこから? 噂から? それとも、死ぬ事が? 何も解らないままの俺に、先輩は言う。 「さっさとお遣い終わらせちゃって、戻らない?」 しょうがないから、付き合ってやるよ。 そう言って先輩は、俺の隣に並んだ。 よく解らないけれど、 とりあえず1人ではなくなったから。 だから、まあ、大丈夫だろう。 隣の存在に安心した俺は、 しかし数十秒後、彼の紡ぎだす、本人曰く『ホラ話』に 早速後悔しだす事になったのだった。 ……これならまだ、1人の方がマシだ。
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