Joke -ウラハラ-

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――― 10月も半ばに差し掛かったある日、私は担任に呼ばれ、職員室へと向かっていた。 なんとなく、呼ばれた理由は想像付いている。 だけど、このままばっくれる訳にもいかず、仕方なく私は職員室のドアをノックした。 「失礼します。」 職員室の中に入り、3学年の担任席を目指す。 担任4人分の机が並ぶデスクの島に1人座っていたのは、私の担任である『大政先生』だ。 彼は私に気付き、開いていたパソコンの画面を閉じて立ち上がった。 「飯田、そのまま面談室。」 「えっ?」 「お前、今更志望校変えたんだって? 進路指導部からそう聞いて、正直戸惑ってんだけど・・・。」 「ああ・・・。」 予想していたお咎めではなかったものの、面倒な事を言われそう。 そう直感した私は小さく溜め息を吐き、大政先生に言われるまま、職員室の一角にある面談室へと足を向かわせた。 もしかしたら、私が家に帰らない事を両親が学校に相談したのではないか・・・。 そう思っていたから、正直ここに来る足取りは重かった。 だけど予想は外れたものの、きっとこの先の面談では良い事を言われないだろう。 面談室の椅子に掛け、向かいに担任が座るのを待つ。 大政先生は進路指導部から回ってきた資料を持ち、私の正面に腰を下ろした。 「で、早速本題だけど・・・。」 そう言って大政先生は、私が再提出した進路希望調査票を机の上に置き、第一志望校の項目を指差した。 「どうして関東医科大を第一志望にした? お前なら、札幌医療大も余裕だったろ? それなのに、どうして今更レベルを下げたのか・・・。」 「そっ・・・、それは・・・。」 大政先生に、本当の事は言えない。 本当は、親元を離れたくて北海道の大学を志望したはずだった。 だけど今は、元喜と離れたくなかったから・・・。 「だって・・・、関東医大なら実家から通えるし、医学部も併設されてるからもっと沢山の事が勉強できると思って・・・。」 こんなの、ただの言い訳だ。 『勉強』なんて、もうしたくない。 そして『理学療法士』になるという夢も、今では少しずつ薄れてきていて・・・。 「そうか・・・。」 大政先生は納得したように頷き、私の目をじっと見つめた。 そしてそのまま、机上の調査票を手元に回収する。
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