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「用事が無いなら、そこで何してんの?」 問い詰めたいのをグッと堪えて、なるべく優しい口調で話し掛ける。 「別に……何も……」 「言いたい事があるならハッキリ言って?」 俺の言葉が引き金になったのか、藤代君の分厚いレンズの奥の目がつり上がった。 「ズルイ……」 「え?」 「アンタばっかり……ズルイ。ボクだって……宮園君と……」 宮園様の名前を出した途端、藤代君がハッとして口元を手で隠す。 「宮園様?」 「……っ!」 そして藤代君は、続きを言わないまま逃げて行ってしまった。 ズルイ? 俺が? で、宮園様がどうかしたの? やっと藤代君と話が出来たのに、結局藤代君がストーカーのように俺を見ていた理由は解らなかった。 宮園様が関わっているって事は解ったけど。 .
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