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宮園様、俺に気を遣ってくれてる?
そうか、宮園様にも気遣いの心が芽生えたんだね。
「ありがとうございます」
俯いていた顔を上げてお礼を言うと、宮園様に「別に」と視線を逸らされた。
ホント素直じゃないんだから、もう。
「雨で濡れて身体冷えたでしょう? お風呂沸かしますよ」
「そうだな」
濡れた服を脱ぐと、宮園様のお腹には前にケンカした時の痣がまだ残っていて。
「宮園様、今日はケガしませんでした?」
俺の視線に気付いた宮園様が、自分のお腹の痣に手を触れさせる。
「相手が弱かったからな、今日は一発も食らってねぇ」
「そうですか」
「それに、お前と約束したからな。ケンカしてもケガはしねぇって」
約束と言えるかは解らないけど、宮園様は俺の言葉を覚えててくれたんだな。
そう思ったら、何だか胸の辺りが温かくなった気がした。
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