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「何でそんな隅っこに居るんだよ」
「それは……」
どう答えようか考えていると、再び空が一瞬明るくなる。
そして轟く稲妻の音。
耳を塞いでも全ての音は遮断しきれなくて、ビクリと身体が強張った。
「雷凄ぇな。近いんじゃねぇか?」
珍しくはしゃいだ宮園様が、楽しそうに窓の外を見ている。
何が楽しいんだよ!
俺は楽しくない!
「コウ」
宮園様が俺のすぐ近くまで来てしゃがみ、ニヤリと笑いながら俺の顔を覗き込んできた。
「お前、もしかして雷苦手なのか?」
そう、俺は小さい時から雷が苦手だった。
だって雷だよ?
あんなの好きな人なんて居ない……って、目の前に居たわ。
「苦手って言うか、怖いんです。あの大きな音とか」
カピバラをしっかりと抱き締めて俯く。
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