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「小さい頃にばあちゃん家で観た『奇跡の生還』ってテレビ番組で、雷に打たれて奇跡的に助かった人の話をやってて……それで雷が怖くなったんです」
「何で? 生還してんだから怖くねぇだろ」
「怖いですよ!」
宮園様は雷の恐ろしさを解っていないみたいで、俺が顔を上げると不思議そうに首を傾げていた。
「雷は落ちるんですよ!? 奇跡が起こらなきゃ生還出来ずに死んじゃう……ぅわっ!」
ビリビリと空気が震えるような轟音に、耳を塞ぐのも間に合わずギュッと目を瞑る。
もうイヤだ……。
雨よ、早く止んでくれ~!
「お前にも弱点があったんだな」
目を開けると、怯える俺を何故か宮園様はニヤニヤしながら見つめていた。
「俺の弱味を握ったのが、そんなに嬉しいんですか」
「そりゃあな、俺ばっかり弱味を握られてんじゃ面白くねぇし」
「ピーマンか! ピーマンの事か!」
「うるせぇよ」
ペシッと頭を叩かれる。
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