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宮園様、酷い。
俺が弱ってる時くらい優しくしてくれてもいいのに。
前の部屋の時は、翼がいつも優しく慰めてくれていた。
『大丈夫、怖くないよ』って……。
「大丈夫だ、雷なんて滅多に落ちねぇし。怖かねぇよ」
「……え?」
「とりあえず耳塞いどけ」
宮園様の両手が俺の耳を塞ぐ……というより顔を挟む。
「後、何か……楽しい事でも考えとけ」
「楽しい事……この間宮園様が春菊の胡麻和えをホウレン草と間違えて口にして、吐き出したのとか」
「それは忘れろ」
顔を挟む手に力が籠められ、両側から頬を押されて口唇がヒヨコのように突き出した。
「ははっ……変な顔」
「いらいれふ」
「何て?」
俺を変な顔にしたのは宮園様のクセに……。
でも、もしかしたらだけど、宮園様は雷に怯える俺を慰めようとしてくれてるの?
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