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宮園様の不器用な優しさを感じて感激していると、部屋の照明がパッと消える。
すぐにまた照明は点いたが、しばらくして一際大きな稲妻の音がして。
「いや~! もう無理~!」
俺の耳を塞いでいた宮園様の手を振り払い、そのまま宮園様の身体に突撃した。
「うぉっ!」
しゃがんだ体勢だった宮園様が、俺が突進した勢いで尻餅をつく。
「何しやがんだ」
文句をつける宮園様に構わずに、カピバラを間に挟んだ状態でギュッと抱きついた。
「おい、コウ」
「無理無理無理!」
「落ち着けっての。雷なんて落ちてねぇから」
しっかりと抱きついた為に、俺と宮園様の身体の間でカピバラが可哀想なくらい潰れている。
「コウ」
宮園様が俺の背中に腕を回して、ポンポンとあやすように軽く叩いた。
「大丈夫だから、落ち着け。な?」
今まで聞いた事も無いような宮園様の優しい声に、小刻みに震えていた身体からゆっくりと力が抜ける。
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