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「み、宮園様っ!」
俺の腕を掴んだまま、宮園様がズンズンと廊下を歩く。
掴まれた手がちょっと痛い。
「宮園様?」
しばらくして宮園様がピタリと足を止めた。
「何で言わなかったんですか? 犯人は自分じゃないって」
「言ったって無駄だからな」
「え?」
ふぅ、と息を吐いてから宮園様が振り返る。
「普段から疑われるような事してるからな。俺の言葉なんて誰も信じねぇよ」
「そんな事無いですよ」
「あるんだよ。中学の時もそうだった」
中学の時に宮園様に何があったのかは知らない。
でも、誰にも信じてもらえないなんて事、あっちゃいけないんだ。
「俺は信じますよ、宮園様の事」
宮園様が驚いたように目を見開いて、俺の腕を掴む手に力を籠める。
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