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放課後、翼に頼んで宮園様に見つからないようにこっそり松森隼人を呼び出してもらった。
部活があるからあまり長い時間は拘束出来ないが、どうしても話を聞きたかったから。
「話って何?」
人気の無い階段の隅に隠れるように翼としゃがんで待っていると、カバンを肩から提げた不機嫌そうな松森隼人が現れた。
「言っておくけど、翼は渡さないから」
誰もそんな話をしようとしてません。
コラ、翼!
頬を赤らめて照れてるんじゃない!
「宮園様に見つからなかった?」
「普通に部活行く振りしたから、大丈夫だと思う」
松森隼人がカバンを床に下ろし、翼の隣にしゃがみ込む。
「って事は、宮園には聞かれたくない話?」
松森隼人、察しがいいね。
翼が関わるとその能力は発揮出来ないみたいだけど。
「聞かれたくないというか、あんまり心配させたくないというか」
声を潜めて話す俺の言葉に、松森隼人が驚いている。
それも「宮園が他人の心配なんかするのか」なんて。
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