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カバンを背負い、今日の晩ご飯は何にしようかなんて呑気に考えながら正面玄関で靴を履き替える。
一歩校舎を出た所で、何やら聞き捨てならない会話が耳に入ってきた。
「ど、どうしよう。お昼にあの宮園って人が呼び出されたの、僕達の所為だよね?」
「しょうがないじゃんか。ああでもしなきゃ俺達が……」
正面玄関の脇に隠れるようにこそこそ話をしているのは、気弱そうなポッチャリした体格の人と、ガリガリの細身の二人組。
俺に聞かれているのも気付かずに会話を続けている。
「で、でも、僕達がやったってバレたら、宮園って人に殺されちゃうんじゃ……」
「やらなかったら三年の不良に殺されちゃうだろ」
「そ、そうだけど……」
つまり、この二人が三年の不良に脅されて、トイレにタバコの吸い殻を捨てて宮園様を犯人に仕立てたって事か。
そりゃ、三年生に脅されたら怖くて逆らえないよな。
でも、悪い事をしたのには変わりない。
「コラァ!」
脅かすように声を張り上げると、ポッチャリ君とガリガリ君が驚いて飛び上がった。
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