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薬師堂先輩の話を聞いて真っ先に浮かんだのは、俺を巻き込むかもと辛そうにしていた宮園様の顔。
宮園様、だから俺を心配してくれてたんだな。
「同情なんかじゃないです。宮園様の傍に居るのは、俺がそうしたいからで」
俺が電話で『寂しいから早く帰って来て』と言ったら、本当に早く帰って来てくれた。
『メシくらい一人で食え』と言いながら、一緒にお昼ご飯を食べてくれた。
雷に怯える俺を『大丈夫だ』って慰めてくれた。
そんな宮園様の傍に居るのは、同情なんて気持ちじゃない。
「俺は宮園様から離れたりしません」
「宮園君の方から離れたら?」
「弱点を突いて攻撃……じゃない、何がなんでも引き留めますよ」
俺の返事に満足したのか、薬師堂先輩は口角を僅かに上げて「ふっ……」と笑う。
「さすが、宮園君の保護者だな」
「えっと、まぁ……」
保護者ってのはとっさに口から出たでまかせなんだけど。
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