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今日は生徒指導室に寄って遅くなったし、今からじゃ買い物には行けないな。
冷蔵庫に残っている食材を思い出しながら正面玄関で靴を履き替える。
上履きを下駄箱にしまおうと顔を上げた瞬間、下駄箱の陰からこちらを窺う藤代君と目が合った。
やだ、この子。
また見てるわ。
そういえば藤代君は最初から宮園様を怖がっている様子は無かったな。
怖がっていたらわざわざ俺に『宮園様と同室になったの?』とは尋ねて来ない筈だ。
となると、藤代君と宮園様の関係が気になる。
「確保~!」
いきなり大声を出すと、藤代君が途端にオロオロし始める。
逃げ出そうとする藤代君を追いかけ、背後からタックルをして玄関の床に押し倒した。
「うわっ……」
倒れ込んだ藤代君の身体にすかさず馬乗りになる。
「フッフッフッ……逃がしませんよ」
倒れた衝撃からか、藤代君の分厚いレンズのメガネが床に落ちていた。
壊してはない……よね?
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