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「藤代君って可愛い顔してるんだね」
「え……」
ペタペタと自分の顔を触り、藤代君が慌てて「メガネ……メガネ……」とキョロキョロと辺りを見回す。
「藤代君、視力悪くないでしょ」
あっさりとメガネを見つけた藤代君に詰め寄ると、藤代君が気まずそうに俯いた。
「顔……隠すのにしてるだけ……」
「何で隠すの? 可愛いのに」
「嫌な事ばっかり……だから……」
藤代君の身体から力が抜けるのが解って、もう逃げる気は無いのかと掴んでいた手を離す。
「変な人に声……掛けられたり……」
「あ~、それは困るかもね」
「そしたら……宮園君が……」
まさかここで宮園様の名前が出てくるとは思わなかった。
下手に刺激をしたらまた話の途中で逃げられてしまうかもしれない。
相槌も打たずに藤代君の言葉の続きを待つ。
「宮園君が……助けてくれたんだ……。でも、ボク……お礼も言えなくて……」
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