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藤代君が宮園様に助けてもらったって事は、前に会った事がある筈なのに、宮園様の記憶には無いらしい。
まぁ、メガネ一つで美少年がもっさい黒髪メガネ君になっちゃうんだもんね。
解らなくても仕方ないのかも。
あ、お礼を言うなら今がチャンスじゃない?
「藤代君!」
宮園様に向けていた目を藤代君に戻すと、藤代君は真っ赤な顔で宮園様を見つめたまま固まっていて。
「あ……ボク……っ……」
ようやく藤代君の身体が動いたと思ったら、床に落ちたメガネを鷲掴みにしてそのまま逃げ出してしまった。
「アレ? 藤代君?」
「何なんだ?」
去っていく藤代君の背中を見ながら、宮園様がポツリと呟く。
ホント、何なんでしょう?
取り残されて床に座り込んだまま呆然とする俺を、宮園様が腕を掴んで立たせてくれた。
「制服、汚れてんじゃねぇか」
「あ~、はい」
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