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制服の汚れなんかより気になるのは、藤代君のあの反応だ。
まるで恋する乙女みたい……って。
隣に立つ宮園様の顔をじっと見ていると、宮園様に「何だよ」と睨み返される。
もしかして藤代君、宮園様が好きなのか?
だから、話し掛ける事も出来なくて……。
「コウ?」
それで宮園様と同室になった俺が気に入らなかったんだ。
「聞いてんのか?」
考え事に没頭していて、ペチリと額を叩く宮園様の攻撃を避けられなかった。
「うわっ、はい、聞いてます」
「聞いてなかっただろうが」
叩かれた額を手で押さえていると、宮園様が床に置いたままの俺のカバンを拾い上げ自分の肩に提げる。
「帰るぞ」
「え、でも」
「早くしろ」と宮園様に急かされ、慌てて後を追うように一緒に校舎を出た。
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