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自分の所為で誰かを巻き込むのが嫌で、宮園様はずっと他人を遠ざけていた。
でも本当は宮園様も、一人が寂しかったのかもしれない。
「よしよし、いい子いい子」
少し傷んだ赤い髪を撫でると、身体を離した宮園様に「ガキ扱いすんな」と額を叩かれた。
うん、この突っ込みこそいつもの宮園様ですよ。
次の日の朝、学校に行こうと部屋のドアを開けると。
「おはようございます、宮園様!」
ポッチャリ君とガリガリ君がビシッとお辞儀をして宮園様を出迎えていた。
「何してんだ、お前ら」
「宮園様、どうか俺達を舎弟にしてください!」
頭を上げないまま頼み込むガリガリ君に、宮園様は「イヤだ」とあっさり断る。
「良かったですね、宮園様」
「良くねぇよ」
ポッチャリ君もガリガリ君も宮園様が悪い人じゃないって解ってくれたから、仲良くなりたいとこうして来てくれたんじゃないの?
「で、『しゃてい』って何ですか?」
解らなかったから尋ねたのに、宮園様はわざとらしい溜め息を吐き、俺と他の二人を残して先に行ってしまった。
だから、『しゃてい』って何なのさ。
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