風紀委員

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「あの、気を遣わないでくださいね? 俺は母親の居ない可哀想な子じゃないんです。母親にはちゃんと愛してもらいましたし、父親だって仕事が忙しくても俺の事心配してくれてますし」 宮園様の黒いスウェットの裾をギュッと掴む。 「父方や母方のじいちゃんやばあちゃんにも、いっぱい優しくしてもらいましたから」 父親の仕事の都合で、小学生の時からこの寮に入るまで母方の祖父母の家で暮らしていた。 母親が居ない寂しさはあったけど、ばあちゃんがいつも母親の話をしてくれて。 だから俺も学校で母親の話を普通にしていた。 母親が亡くなっていた事を知った友達に『ごめん、悪い事聞いて』と母親の事で気を遣われるまでは。 「悪い事じゃないのに」 俺が亡くなった母親の話をしちゃいけないのか? 『辛い事思い出させちゃうよな』って、母親の記憶は辛い物ばかりじゃないのに。 不意に頭をポンポンと優しく叩かれて、その時初めて自分が俯いていたのに気付いた。 「解ってるよ」 「宮園様?」 .
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