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「宮園唯、制服を正しく着用して明日までに髪を黒く染めて来なさい」
朝日に照らされた銀縁のメガネがキラリと光る。
薬師堂先輩、来た!
「下の名前を呼ぶんじゃねぇ」
「いやいや、今はそんな事言ってる場合じゃないでしょ!」
思わず宮園様に突っ込みを入れて、薬師堂先輩に「石渡君は黙っていなさい」と叱られてしまった。
「何でお前に命令されなきゃなんねぇんだよ」
「命令じゃない、指導だ」
宮園様が正面に立ちはだかる薬師堂先輩を睨み付けるが、薬師堂先輩は怯む事無く睨み返している。
一触即発、そんな四字熟語を体感した瞬間だった。
……って、朝からこんな所でケンカされても困る!
「髪は染めねぇ」
「校則違反を承知でか? 染めたくなるように頭から墨汁でもかけてやろうか」
「やれるもんならやってみろや」
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