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宮園様がジリッと一歩前に足を出す。
このままじゃ風紀委員長である薬師堂先輩に手を出してしまうと、慌てて「いけません!」と宮園様の身体に抱きついてその動きを止めた。
「なっ……何すんだ、お前」
「宮園様、落ち着いてください!」
「お前が落ち着け」
自分の身体にしがみついたままの俺の頭を、宮園様がペチリと平手で叩く。
アレ、宮園様、薬師堂先輩を殴ろうとしたんじゃないの?
「薬師堂先輩、宮園様を許してやってください。髪を染められない事情があるんですよ、多分」
宮園様の身体をホールドしたまま、顔だけ薬師堂先輩の方に向ける。
「どんな事情が?」
「えっと……そう! 宮園様は髪を黒く染めると死んじゃうんですよ!」
「馬鹿馬鹿しい、髪を染めたくらいで死ぬ訳がないだろう」
「ホントに死んじゃうんですよ! その……個性が」
宮園様の為を思って弁護したのに、薬師堂先輩には冷ややかな視線を向けられ、宮園様には「ホントバカだな」と溜め息を吐かれた。
そんなに呆れなくったっていいじゃん。
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