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「そこまで言われると、余計に欲しくなった」
「いや、だから俺は風紀委員には……」
「今は無理でもいずれ事情が変わるかもしれない。俺は石渡君を諦めるつもりは無いからな」
ニヤリと含みのある笑みを浮かべ、薬師堂先輩は俺の手から長ネギを奪って買い物カゴに突っ込んだ。
いや、断ったんだから諦めてくれよ。
家事が出来なくなるかもという不安もそうだけど、俺には風紀委員は無理だと思う。
何せ、宮園様は風紀委員と相性が悪そうだし。
「材料費は出す」と言う薬師堂先輩を説得したものの、なかなか譲ってくれなくて。
結局妥協案で薬師堂先輩に鱈と海老を買ってもらった。
やった、久しぶりの魚だ~!
材料の入ったエコバッグを手に寮に戻ると、部屋の前で山本先輩が空の鍋を抱えたまましゃがみ込んで帰りを待っていて。
「遅いよー。お腹空いたー!」
文句をつけた為に薬師堂先輩にお尻を蹴飛ばされ、床に転がされた。
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