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「宮園様、ほら、おかわりは?」
手を伸ばすと宮園様はお皿に残った野菜を急いで掻き込み、俺の手に「ん」と皿を乗せる。
せっかくの鍋なんだから、楽しく食べなきゃ。
「ご飯食べてる時くらいはケンカは無しです。ね?」
「何で俺にだけ言うんだよ」
「薬師堂先輩もです」
宮園様の分の海老の殻を剥いて布巾で手を拭き、「どうぞ」とお皿を戻す。
その手元を山本先輩がじっと見つめていた。
「山本先輩もおかわりですか?」
「そうじゃなくてー。何か二人、夫婦みたいだね」
「え、そうですか?」
そんなに仲良さそうに見えたのかと単純に喜んでいる俺の隣で、何故か宮園様が赤い顔で咳き込んでいる。
「宮園様、大丈夫ですか? 海老の殻でも残ってました?」
「うるせぇっ……」
よしよし、と宮園様の背中を撫でると、宮園様に手を払われた。
何だよ、俺と仲良さそうに見られたのがそんなに嫌なのか?
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