12450人が本棚に入れています
本棚に追加
/400ページ
「いいじゃん、ラブ! 『恋愛は人生を豊かにする』って偉い人が言ってたような言ってなかったような気がするし」
「バカは黙ってうどんを食べていろ」
いや、うどんまだ煮えてませんから。
チラリと宮園様の顔を窺うと、宮園様は未だ不機嫌そうに椎茸を食べている。
『恋愛』と言われて頭に浮かんだのは、宮園様に好意を寄せているっぽい藤代君の顔。
もし藤代君と宮園様が付き合う事になったら、俺また部屋を出て行かなきゃいけないのかな?
いや、宮園様に『出て行けと言われても出て行かない』と啖呵を切ったばっかりだし。
でも……何だろう。
何かモヤモヤする。
「コウ」
「え!? はい、何でしょう!?」
「うどん食いたい」
「あ、うどんね!」
いきなり話し掛けられて動揺する俺を、宮園様が不思議そうに見ていて。
平静を装いながらうどんを取ろうとして、箸から滑り落ちたうどんで鍋の汁を溢し「何してんだ」と宮園様に叱られてしまった。
.
最初のコメントを投稿しよう!