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「騙されてない……騙されてないぞ。俺だって本気で信じてた訳じゃないし。うん、騙されてない」
気持ちを落ち着けるようにブツブツ呟いていると、三世寺先輩に「……大丈夫か？」と心配されてしまった。
今度から山本先輩の話はあまり信用しないようにしよう。
「……薬師堂様に伺った。君を風紀委員に勧誘したと」
「聞いちゃったんですか」
「……我ら風紀委員に仲間が増えるのは素直に喜ばしい。だが、事情は人それぞれ。無理に引き入れたりしない」
三世寺先輩って、ちゃんと気遣いの出来る人なんだな。
さすが武士……って、武士じゃないけど。
「……納得するまで考えてから答えを出せばいい。勿論、参加を決めたなら歓迎する」
答えも何も、とっくに断ったんだけどな。
まぁ、薬師堂先輩は諦めないって言ってたし、これからも度々勧誘されるのかも。
「ありがとうございます」
ペコリとお辞儀をすると、三世寺先輩に頭を撫でられ。
「……食べろ」
どら焼きを一つ手渡された。
……何でどら焼き？
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