12451人が本棚に入れています
本棚に追加
/400ページ
お茶のペットボトルを握り締めながら目を瞑る。
しばらくするとドアの開く音と足音が聞こえてきた。
「コウ?」
この声、宮園様だ。
「何でベッドに居ねぇんだ?」
ガサガサとビニール袋が擦れる音がしている。
宮園様、俺はここです。
返事をしようにも声が出ない。
起き上がらなくちゃと瞑っていた瞼をゆっくり開けると。
「うぐっ……」
俺の存在に気付かなかったのか、宮園様に思いきり背中を蹴られた。
「わ、悪ぃ。ってか、何でそんなとこで寝てんだよ」
「う~…動けない……です……」
背中の痛みを堪えながら声を絞り出す。
「大人しく寝てろって言っただろうが」
「だって……」
寝転んだままの俺を、宮園様がすぐ傍で屈んで見下ろしてくる。
その視線が俺の手の中のペットボトルを見つけて「あぁ、悪ぃ」と、宮園様は何も悪くないのに謝ってきた。
.
最初のコメントを投稿しよう!