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「宮園様……どこ行ってたんですか……?」
「薬局。寮の管理人に聞いたら、熱があるなら風邪薬より解熱剤の方がいいんじゃねぇかって言われて」
「そう……なんですか」
「薬の他にも色々買ってきた」
買ってきた物はキッチンに置きっぱなしだ。
取りに行こうとしたのか宮園様がベッドから離れそうになり、思わず布団から手だけを出して宮園様の服を掴んだ。
「コウ?」
「あ……すいません」
風邪を引くと心細くなるんだろうか。
宮園様に傍に居てほしいなんて、どうかしてる。
「そんなに掴まなくてもどこにも行かねぇよ」
宮園様がしっかりと服を握った俺の手を包み、やんわりと引き剥がす。
「いつもこんなに大人しけりゃ、可愛いのにな」
「ん……?」
「何でもねぇよ」
誤魔化すように額をペチリと叩かれたが、いつもより手加減しているみたいだ。
全然痛くないし。
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