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買い物袋の中には薬の他に体温計やひんやり冷却シート、イチゴヨーグルトとレトルトのお粥、そして桃の缶詰が入っている。
「桃缶……」
「食欲無くてもこんなんなら食えるだろ?」
「夢にまで見た桃缶だ」
じっと桃の缶詰を見つめていると、宮園様に「そんなに食いたかったのか」と苦笑されてしまった。
小さい時の夢を見たからかな?
桃の缶詰にこんなに感激してしまうなんて。
「飯、食えそうか?」
「ん~…あんまり……」
「食わねぇと薬飲めねぇだろ」
宮園様が手の甲で俺の頬に触れる。
それから首にも。
「熱いな。お粥温めて来るから、お前は熱計ってろ」
「桃缶食べたい……」
「それも開けてやるから」
俺の前髪を掻き分けて額にペタリとひんやり冷却シートを貼り、体温計を手渡してから宮園様がキッチンへと向かって行った。
宮園様、今日はやたらと優しいな。
やっぱり不良でも病人には優しいんだろうな。
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