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「風邪ひいたんだって? 大丈夫?」
ズカズカと勝手に部屋に上がり、山本先輩がベッドに横になっている俺を心配そうに見つめる。
「何で知ってるんですか……?」
「管理人に聞いたー。宮園君がかなり動揺してたみたいだから、様子見て来てやってって」
宮園様が動揺?
有り得ない、有り得ない。
「とりあえず今日一日ゆっくりして、明日も熱が下がらなかったら病院行きなよー?」
「はい……」
山本先輩にも心配かけちゃったんだな。
でも、こうして様子を見に来てくれた気遣いは嬉しい。
「後コレ、お見舞い。オレが食べちゃったから一個しか残ってなかったんだけど」
『お見舞い』と言って山本先輩が差し出したのは、一個の蜜柑。
何故かそれを寝ている俺の額にそっと乗せた。
蜜柑を額に置いても風邪に効く効能は無かった筈だけど……。
ダメだ、突っ込みを入れる元気も無いや。
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