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「見舞いだ」と薬師堂先輩が差し出したのは紙袋。 それを戸惑いながら受け取る。 「見舞いって……」 「風邪を引いたと聞いたのでな」 もしかして山本先輩に聞いたのかな? それでわざわざ時間を作ってお見舞いに? 「ありがとうございます」 「いや、構わない」 受け取った紙袋の中を覗くと、果物の盛り合わせと羊羹が一本入っていた。 「何故に羊羹?」 「それは三世寺からだ」 お見舞いの気持ちは有り難いけど……チョイスがおかしい。 羊羹一本って……。 「大分元気になったみたいだな」 「はい。今日は一応大事をとって休んだだけですから」 「なら、いい」 俺の様子を見てホッとしたのか、薬師堂先輩が短く息を吐く。 .
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