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「ご心配お掛けしてすみません」 「心配したのはこちらの勝手だ、気にしなくていい。それに、下心もあったしな」 「下心?」 薬師堂先輩が口角を僅かに上げてニヤリと笑う。 「ここで恩を売っておけば、風紀委員に入る気になるかもしれない」 お見舞いに来てくれたくらいで風紀委員には入りませんよ。 ハッキリ断ったじゃないですか。 「まぁ、冗談だが」 「ちょっとは本気でしたよね?」 「……」 否定はしないんですね。 「元気になったのなら、それでいい」 コホン、と誤魔化すように咳払いをしてから、薬師堂先輩が俺の頭を撫でてきた。 「宮園君も相当心配していたらしいしな。その時の動揺している姿を俺も見たかったくらいだ」 「俺が風邪引いたくらいで、宮園様が動揺なんかする筈無いじゃないですか」 「まぁ、石渡君の前だとそうだろうな」 .
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