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学習机の椅子から勢い良く立ち上がり、ベッドに横になっている宮園様の黒いスウェットの裾をグイグイと引っ張った。
「引っ張るな。つーか、お前は俺の母親か」
「そうです。ほら、勉強、勉強」
「おい、否定しろよ」
あまりのしつこさに諦めたのか、宮園様がワンセグを切ってベッドから起き上がる。
「解った、やればいいんだろ。で、何の教科?」
「初日から数学がありますよ。……俺の苦手な数学が」
「コウ、ノート見せて」
宮園様、授業のノートちゃんととってないんですか?
「いいですよ。教科書は?」
「学校のロッカーに置きっぱなしだ」
「勉強する気無いでしょ」
椅子に座り直すと、宮園様が俺のすぐ隣に椅子を動かして机の上のノートを覗き込んできた。
「テスト範囲は覚えてますか?」
「覚えてねぇ。ってか、問3と問5、答え違う」
「え?」
改めてノートを見返すと、確かに問3と問5の答えを単純な計算ミスで間違えている。
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