嫉妬

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集団のあちこちから威勢のいい怒鳴り声が聞こえている。 ケンカか? 「何とか言えよ。ビビってんのか、宮園!」 十数人の集団に囲まれているのは、よく目立つ赤い髪。 ……って、宮園様ですか!? いくら宮園様でもこの人数はヤバイんじゃないの? チラリと見えたネクタイの色からして、相手は三年生みたいだ。 ど、どうしよう。 いや、俺が出て行っても三年生に瞬殺されて終わるだけだ。 こんな事なら、普段から筋トレしとくんだった! オロオロしている俺とは正反対に、宮園様は囲まれているにも関わらず落ち着いている。 「うるせぇな」 「ぁあ? 何だと?」 「ギャアギャア騒ぐな。耳障りだ」 「てめぇ……!」 前に出ていた集団の一人が宮園様の胸倉を掴む。 そのまま宮園様が殴られてしまうんじゃないかと思っていたのに。 「触んな」 宮園様の華麗な蹴りで、胸倉を掴んでいた三年生が一瞬で吹っ飛んだ。 .
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