12451人が本棚に入れています
本棚に追加
集団のあちこちから威勢のいい怒鳴り声が聞こえている。
ケンカか?
「何とか言えよ。ビビってんのか、宮園!」
十数人の集団に囲まれているのは、よく目立つ赤い髪。
……って、宮園様ですか!?
いくら宮園様でもこの人数はヤバイんじゃないの?
チラリと見えたネクタイの色からして、相手は三年生みたいだ。
ど、どうしよう。
いや、俺が出て行っても三年生に瞬殺されて終わるだけだ。
こんな事なら、普段から筋トレしとくんだった!
オロオロしている俺とは正反対に、宮園様は囲まれているにも関わらず落ち着いている。
「うるせぇな」
「ぁあ? 何だと?」
「ギャアギャア騒ぐな。耳障りだ」
「てめぇ……!」
前に出ていた集団の一人が宮園様の胸倉を掴む。
そのまま宮園様が殴られてしまうんじゃないかと思っていたのに。
「触んな」
宮園様の華麗な蹴りで、胸倉を掴んでいた三年生が一瞬で吹っ飛んだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!