嫉妬

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宮園様は逃げる気なんか無いのか、突っ立ったまま逃げる三年生をぼんやり見ている。 もう、宮園様ってば! 「コラ、逃げるな! 風紀委員の指導を受けなさい!」 風紀委員の内の何人かが逃げ出した三年生を追い掛ける。 その騒ぎに乗じてそっと宮園様に近付き。 「逃げますよ!」 「は?」 宮園様の手を掴んで、三年生が逃げた方向と反対の方へと走り出した。 しばらく走って辿り着いたのは実習室の集まる棟の廊下の端。 「ここまでっ……はぁっ……くればっ……はぁっ……」 肩に提げたカバンが落ちないように支えながら全力疾走したので、呼吸が辛い。 どうせなら校舎から出た方が良かったかな? いや、あの風紀委員なら校舎の外まで追って来そうだ。 「コウ」 「宮園様、何で逃げないんですか。また薬師堂先輩に叱られちゃいますよ?」 「そんなの慣れてるし……つーか……手」 「手?」 .
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