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ピッタリと密着している部分から、宮園様の体温が伝わってくる。
宮園様、温かいな。
廊下が少し寒いから特に。
「宮園様、どう……」
『どうしたんですか』と尋ねる前に俺のお腹の虫が『ぐぅ~』と鳴いて。
「ふっ……ホントお前は……」
俺のすぐ耳元で、宮園様が笑い出した。
「色気も何もねぇな」
「違うんです! バナナ豆乳さえ飲んでいれば、お腹は鳴らなかった筈なんですよ」
「はいはい」
呆れたような返事をして、宮園様が俺の身体から離れる。
何か頬が熱い。
お腹が鳴ったのがそんなに恥ずかしかったのか?
「そういや、俺も売店行く途中だった」
宮園様が渡り廊下の近くで三年生に絡まれてたのはその所為だったんですね。
今から売店に行こうとしても、ケンカの現場が近いから風紀委員に見つかって捕まるかもしれない。
「もしかしてお昼ご飯買うつもりでした? 俺、部屋で食べるつもりだったんです。宮園様の分も作りますよ」
「んじゃ、そうするか」
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