嫉妬

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俺はカバンを持っているからこのまま帰れるが、宮園様は手ぶらだ。 「宮園様、カバンは?」 「教室に置いたままだ。売店行ってすぐ戻るつもりで、財布しか持ってねぇ」 「何て事……!」 宮園様の目立つ赤い髪から、風紀委員にも宮園様が関わっている事はバレている。 それでいて逃げ出したんだから、きっと教室は見張られているに違いない。 「教室に戻ったら風紀委員に捕まってしまいます! 俺がカバン取って来ますよ」 「要らねぇ。お前まで関わってると思われたら面倒な事になるだけだろ」 「でも、宮園様が……」 宮園様だって三年生に絡まれて仕方なく応戦しただけなんだから、好きでケンカをした訳じゃない。 でも、そんなの言い訳にしかならないだろうし……。 「仕方ねぇよ。風紀委員に捕まったら、大人しく付き合って来る。お前は先帰ってていいから」 「宮園様……」 「腹減ってるし、なるべく早く終わらせる」 「解りました。刑期を終えて帰って来るのを、ずっと待ってますね」 涙を拭うジェスチャー付きでそう言うと、「嫌な言い方すんな」と宮園様に叱られてしまった。 .
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