嫉妬

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宮園様を好きな藤代君があんな場面を見てしまったら、そりゃショックだろう。 俺、配慮が足りなかったのかも。 「藤代君、その、さっきのアレは……」 「キライ……キライだ……アンタなんか……大キライ!」 いつもボソボソと小声で話す藤代君が珍しく大声を出して。 「あ、藤代君……」 呆然としたままの俺を残して走り去って行った。 俺、悪い事しちゃったかな? 藤代君の気持ちは解っていたのに。 「……」 バナナ豆乳がぶつかった頬がズキズキと痛む。 「帰ってお昼ご飯……作らなきゃ……」 床のバナナ豆乳を拾い上げるが、やたらと重く感じた。 何だろう、モヤモヤする。 藤代君にハッキリ誤解だと言えば良かった筈なのに、言えなかった。 言い訳しようとして。 「解んないな……」 原因不明の心のモヤモヤが晴れないまま、重い足取りで寮に戻った。 .
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